Project
KUMO BORN
KUMO BORN
KUMO BORN
KUMO BORN
Client
天空電脳有限公司(Sky Cyber Co., Ltd.)
Category
Concept Design / Art Direction / Visualization
peak silenceと天空電脳有限公司によるコラボレーション・ビジュアル企画。
1980年代に上海で設立された架空の環境工学企業「天空電脳有限公司」が将来的に構想している “雲を生成・操作する技術” をpeak silenceがアートの視点から視覚化したフィクション・プロジェクト。
天空電脳有限公司
Tiānkōng Diànnǎo Yǒuxiàn Gōngsī
空気清浄技術の発展を軸に人間と自然が共存する未来の空気インフラを研究。
現在は環境プロジェクトとして雲の生成と操作という新たな領域へと歩みを進めている。
peak silence は同社が思い描くその未来像をもとに、“人類が雲をつくる時代” というビジョンをビジュアルとして可視化しました。
Creative Team
Photographer:Eri Tanaka
Model:Kaho Seto
Hair & Make up:Asami Tanoue
3DCG:MIEM
Music:yumenomatayume
Direction:peak silence
Interview
天空電脳有限公司(Sky Cyber Co., Ltd.)。
1980年代に上海で空気清浄機メーカーとして誕生したこの環境工学企業が、これまで人類が操作できないとされてきた雲の生成・操作という壮大なビジョンを掲げています。
私たちpeak silenceは、同社が将来的に構想するこの革新的な技術と哲学を、「KUMO BORN」という名の未来のコンセプトデザインとして可視化するコラボレーションプロジェクトを手掛けました。
本インタビューでは、単なる技術の進歩ではなく、空気清浄から始まった「テクノロジーと人間の調和」という一貫した企業哲学が、いかにしてこの「雲をつくる時代」という壮大なプロジェクトへと繋がったのか。
そして、それをデジタルファッションと3DCGで具現化した私たちの制作の過程を追いました。
空気清浄機メーカーが生み出す雲製造機「KUMO BORN」プロトタイプ
Q. 今回の「KUMO BORN」を使ったアートプロジェクトは、非常に独創的な技術がテーマです。このコラボレーションにあたり、デザイナーとしてまず何から着手したのでしょうか?
A.【WAGU】天空電脳有限公司という企業が歩んできた時間と、そこから先に描こうとしている未来の輪郭をとらえるところから始めました。人類が制御することは不可能だとされてきた自然現象、その中でも「雲」に着目し生成と操作を試みようとする発想は途方もなく大胆でありながら、どこか近い将来に実現しそうな不思議な現実味を帯びているように感じました。
一番印象に残ったのは、人と共に生きることを軸としていることです。支配ではなく、共存。そこにどこまでも広がる可能性が秘められていると思いました。そしてこの想いを我々の力で届けたいと思いました。
A.【MIEM】1980年代、当時の空気清浄機は”きれいな空気”という自然の恵みを技術によって人間の生活圏に取り戻すための装置でした。これは人間と自然環境との関係を一時的にでも健全な状態に調和させようとする彼らのビジョンの源流です。
Q. そこから具体的にどのようなデザインが思い浮かんだのでしょうか。
A.【WAGU】雲に触りたい、雲に乗りたい、雲のベットで眠りたい。子供の頃から思っていた夢を膨らませました。
また、お話をいただいてすぐ始めたことがあります。雲の出ている日は必ず、あの形はソフトクリーム!などと童心に帰って連想ゲームを楽しみました。
そこで雲でできた馬に乗って空を駆け巡りたい!とデザインの大きな構想ができました。
Q. 衣装のコンセプトはどのように落とし込んでいったのでしょうか? そのデザインの着想源についてお聞かせください。
A.【WAGU】まず、雲の上を飛んでいる鳥は存在するのかを調べました。雲の上の知らない世界を調べていくと、アネハヅルに行きつきました。
約8,000m、ヒマラヤ山脈を超える高さを飛んでいくようです。日本では旅鳥と知られているようで、我々の住んでいる日本のスパイスを組み入れたかった点と、「KUMO BORN」を広く知っていただく旅をしていく、という想いを入れたかったのです。
こうした経緯で、衣装のコンセプトは雲の上を飛んでいくアネハヅルに決めました。
Q. 具体的に製作においてどのような素材やデザインの工夫を取り入れたのでしょうか?
A.【WAGU】衣装としてのインパクトも大切にしましたが、雲の上での機能面、それから旅をしていくという点でテックウェアの要素を取り入れました。
トップスには水蒸気をはじくように素材にもこだわり、かつ軽やかでモデルの瀬戸さんにも合うように女性らしいクリーンな肌みせを意識しました。ポケットもたくさんついていて、バックを持たずに旅できます。
ボトムスは鶴の尾のような羽をいれたくて、バレエのチュチュをベースにボリュームのあるデザインにしました。上空を動くたびにふんわりとロマンチックに動くように、生地のパターンからデザインしました。
A.【MIEM】WAGUさんのデザイン案を受け取った時、ロマンチックなアネハヅルのイメージと、機能的なテックウェアの要素が混在しているのが非常に印象的でした。私の役割はこのコンセプトをデジタルならではの表現で可視化させることでした。
まずはデザイン画を元にMarvelous Designerを使って衣装のパターンを起こし、生地のドレープやボリューム感をシミュレーションしていきました。
その後、Cinema 4Dで全体のモデリングや、背景となる雲の表現、ライティングなどを調整し、最終的なビジュアルに仕上げていきました。
特にボトムスの羽根のチュチュは、風になびく軽やかさを出すために何度も調整を重ねましたね。
Q. 目元の水蒸気メイクが印象的です。ヘアメイクのエピソードを教えてください。
A.【WAGU】ヘアメイクは田上さんにお願いしました。広告はもちろんウェディングのヘアメイクでも個性を生かしたコンセプチュアルな作品を作られていて、今回絶対にお願いしたかった方でした。
実際の打ち合わせはとてもスムーズで、世界観やイメージをお伝えした上で、まつ毛や眉毛には水蒸気をまとわせたい、と一点だけ依頼しました。撮影時はイメージ通りの水蒸気まつ毛が誕生していて感動!
イメージボードからすぐに解釈してくださり、ヘアはメイクを生かした凛々しさ、肌質やリップもイメージのさらに上をいく提案でした。
ひとつひとつの工程がとても丁寧で着実に仕上がっていく様子を目の当たりにし、田上さんの感覚にゆだねられることが何より心強かったです。
Q. 撮影はどのような現場だったのでしょうか。
A.【WAGU】スタジオには KUMO BORN のミニチュア模型が設置され、雲が生成されていく過程を再現しました。
撮影は、絶対的な信頼を寄せるフォトグラファーの田中さんにお願いしました。
雲という特殊な想定での撮影では具体的な形を示せないシーンが多く、イメージを感覚で共有できるチームであることが何より重要でした。
そして限られた時間の中で、モデルの瀬戸さんが指の先まで繊細で美しいポーズを次々と魅せてくださいました。その姿はまさに華麗に空を舞う鶴のようで、スタジオごと空に溶けていくような不思議な感覚に包まれました。
入念な打ち合わせの時間を含めてとても刺激的で楽しい現場でした。
すべてがコンセプトにぴたりとはまる瞬間に立ち会えたことは何よりも幸せな体験でした。
「KUMO BORN」プロジェクトは、天空電脳有限公司が創業時から持ち続けた「テクノロジーと人間の調和」という哲学を、空気清浄というパーソナルな領域から雲を操るという壮大な環境インフラの領域へと拡張する未来への挑戦でした。
私たちpeak silenceはこの一連のコンセプトデザインを通じて、技術が単なる支配のツールではなく、共存と感動を生み出すための最もクリエイティブな手段であることを表現しました。
過去のルーツと未来のビジョン、テクノロジーとアート、機能性とロマンス。相反する要素をデジタル空間でシームレスに融合させたこのプロジェクトは人類が自然と共により豊かに生きていくための新しい可能性を提示しています。
A collaborative visual project by peak silence and Sky Cyber Co., Ltd.
Founded in Shanghai in the 1980s, the fictional environmental engineering company Sky Cyber Co., Ltd. (Tiānkōng Diànnǎo Yǒuxiàn Gōngsī) envisions a future technology capable of generating and manipulating clouds.
peak silence visualizes this imagined innovation from an artistic perspective as part of a speculative collaboration project.
Sky Cyber Co., Ltd.
Centering on the advancement of air purification technology,the company researches future air infrastructures designed for harmonious coexistence between humans and the natural environment.
Today, it expands its environmental studies into a new frontier — the generation and control of clouds.
Inspired by this vision,peak silence visualizes a future where humanity creates its own clouds — “the age of cloudmaking.”